2012年7月26日木曜日

思いがけず、鶴ヶ岡城。 ~西・山の会紀行2012夏その2~

登山旅行のはずなのに、片道9時間往復18時間バスに揺られて、すっかり「バス旅行」(笑)。

新潟から秋田のほうに向かっては国道7号線をひた走ることになるんですが、地図をみるとちょうど新発田城の本丸表門のそばや村上城址のある山のすぐ下をとおるみたい・・・!

(新発田城の場所)
http://castle-jp.net/003/cat28/
(村上城の場所)
http://chizuz.com/map/map55816.html

実は私、もともと郷土史的なことが好きで中~近世に興味を持っていたんですが、この春くらいにtwitterでつながりのできた「城ガール隊」のメンバーに入れてもらってから、一気にお城熱がブレイク!
(城ガール隊ブログ http://blog.livedoor.jp/yositugu_o-siroga/

「城ガール隊」のことは書くと長くなるので、またの機会においておくとして。

今回はお城とは何の関係もない山登りの団体行動バスなので、立ち寄ることは100%ないけれど、せめて車窓から一目でも見れないかな・・・と内心ちょっと期待しつつバスは国道7号線に入り・・・  ん?




今回の山の会の幹事さんが「皆さんにぜひ日本海をお見せしたくて~!」
いきなり進路を少し内陸を走る国道7号線から海沿いの県道に変えちゃった!

バスの長旅で疲れている皆さんへの、幹事さんのやさしいお心遣い(T_T)

あーぁ・・・ 帰りは高速道に乗ってしまうので、これで今回はまるっきりお城とは縁がなくなっちゃう。
これは山登りに専念しなさい、という神サマの思し召しだな・・・




・・・と思っていたら
帰り道。

「思ったよりも早いので、これから鶴岡公園のなかにある藤沢周平記念館に立ち寄ります」




鶴岡公園・・・ イコール、鶴ヶ岡城!
そう、徳川四天王酒井忠次の嫡流である譜代大名庄内藩酒井氏15万石のお城です。
(余湖さんのHP) http://homepage3.nifty.com/otakeya/ouu/turuokasi.htm

やったー! お城だぁ!

私の場合、藤沢周平も好きだけど記念館に何が何でも行きたい!というわけでもないので、さっそく幹事さんのところに駆け寄って、たった別行動で記念館に行かずにお城散策をゲットしたのでした。

→ 団体行動を乱す、幹事泣かせの悪いヤツ (^^;)




さて、同行の皆さんが藤沢周平記念館に行っている間に散策開始。
まずは、バスの駐車場から一番近い二の丸から。




見たところお堀の水面すれすれに見える石垣は比較的新しそう。土塁も低め。

元は中世に築城されたとはいうものの、元和8年(1622年)酒井忠勝入封以降に庄内藩の政庁として整備された城郭なので、あまり戦い向きではないのかな・・・などと考えつつ本丸跡に鎮座ましましている庄内神社へ。

鶴ヶ岡城についてちゃんと予習をして臨んだわけではなかったので、60分という短い時間でどこをどのように見たらよいのか途方にくれつつ、とりあえず神社にお参りして後ろを振り返ったとたん・・・

真っ正面の鳥居の方(つまり本丸大手門方面なのですが)から、風呂敷包みを手に歩いてきた作務衣姿の若めの男の方がすうっと寄ってきて、こちらから声をかけたわけでもないのに「ここは昔のお城の跡なんですよ」と声をかけてきました!

なんという霊験のあらたかさ!

この方は、実はこの神社で甲冑の作り方を教えている甲冑師さんなんだそうです。
なんでも、お祭りの武者行列を古式にのっとって再現するために、古文書を持ってその方面に詳しい司書の方に会いに図書館に行く途中だったとのこと。

で、短い時間でしたが、歩きながらいろいろと教えていただきました♪




写真は、この方に教えていただいて見に行った資料館「致道博物館」に展示されていた江戸時代末期頃の城郭図と模型です。

庄内藩は幕末の戊辰戦争で会津藩や米沢藩が降伏しても最後まで恭順しなかったので、明治政府から憎まれて(?)、明治9年には城郭を石垣にいたるまで徹底的に破却され、その瓦礫廃材で城の外堀(百間堀)も埋め立てられたのだそうです。

真ん中の写真に画かれている図で城跡の下方に池のようになっているところが百間堀にあたります。

二の丸のところで見た看板では右の方にあたるのですが、比べてみると相当堀が埋め立てられてなくなっているのが判ります。
また、お堀の周りに巡らされた土塁は堀を掘ったときに出た土砂を積み上げたもので、破却・埋め立ての前には土塁全面に石垣が巡らされていたということです。

この石垣は全部はがされたのですが、そのときにはがし忘れたのか、それとも泣く泣く作業した職人さんの反抗心なのか、城内でたった1つだけ当時の石垣の石が残っているのだそうです。




その石がいちばん右側の写真のこれ。隅櫓跡(一番左側の写真の土塁)の向こう側のお堀に面した斜面(真ん中の写真)の草むらの中に張り付いてました。

ただし、普通に行ったんじゃどこにあるか全く見えませんし、そうだと言われても私には他の石と区別がつきません~(苦笑)


ひとしきりぐるぐると案内してもらったあと、甲冑師さんと別れて(結局お名前もお聞きしませんでした・・・ご親切にありがとうございました!)、教えていただいた致道博物館へ。

ここには旧庄内藩主ご隠殿と庭園があって、その中に先ほど紹介した城郭図や模型も展示されています。




また、旧庄内藩主酒井家に伝わる甲冑や刀剣、旧藩主の書画なども展示されています。
そして一番右の写真の奥座敷からは古庭園を眺めることができます。

この庭に面した縁側を左に行くとお茶室があります。






このお茶室、一般開放していないのでこの先に入って中を見ることはできないのですが、藤沢周平原作の映画「蝉しぐれ」でロケに使われたそうです。

外側から中が見れないかな、と思って庭に回ってのぞいてみたんですが(一番右の写真)、これ以上見ることはできませんでした・・・(^^;)



そして、あれこれ駆け足で見て回っているうちにあっという間に60分が過ぎ、本当はもっとじっくり見たかったのですが後ろ髪を引かれながら再びバスに戻って、鶴ヶ岡城を後にしたのでした。

そして家に帰ってから改めて鶴ヶ岡城のことを調べてみたら、見落としていたものがやたら出てきて、悔しさ満載。

やっぱり予習復習は大事だなぁ・・・でも、本当はお城には全く寄れないだろうと思っていたので、思いがけず鶴ヶ岡城が見れて、親切な方にも巡り会えて、本当に行ってよかった!

・・・って、メインの山登りは、いったいどこへ行っちゃったんでしょうね(笑)




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